Baby Tee – GALCHANIE #サワディーワタナベ的タイポップ/T-POP鑑賞記

ThaiNow編集部

新旧問わず、音楽に親しんできたタイナウ編集部ワタナベが、未体験だったタイポップを聴いて綴る音楽鑑賞記。「サワディワタナベ」は未知のタイポップへのサワディ=こんにちは のご挨拶です。

今回聴いたのはタイの大人気R&Bシンガー、GALCHANIE(ギャルチャニー)「Baby Tee」です。

タイナウ編集部メンバーから教えてもらった曲ですが、「ああ、いい曲に出会えたー!」とうれしくなりました。
魅力たっぷり、ものすごい充実感のある良曲です。

一聴して感じましたが、GALCHANIEの才能が全方位です…。
スペックの五角形=通称ペンタゴンチャートってのがありますが、この人、ほとんどオール満点の正五角形に近いんじゃないでしょうか。そしてプロデュースのMAYOJAMESの仕事もめちゃめちゃいいのでどこから紹介していいか迷うくらいです。

んー、まずは声と歌から行きましょう!

スーッと入ってくる力の抜けた自然な声… に聴こえますが、騙されてはいけません。ものすごい技術が入ってます。ちょっとウィスパーボイスっぽくて張ってないし、さほどビブラートもしない。「あ、歌唱力勝負じゃないのね」って思ってしまいそうな歌声です。

ですが、天性の声質と、おそらくかなりの上級テクニックが楽しめる希有な歌声の持ち主です。

声は大半が抵抗なく入ってくる、きれいで優しいトーンですが、声質にかなりしっかりした芯があります。
インタビュー動画などを観ても感じましたが、本来の声は強く、声量もあることでしょう。特にサビ以外の部分の方でその強さの片鱗を楽しむことができます。
芯が強い、声が強いからこういう歌い方に留めているのかなと思うくらいです。

それから歌の技術です。何といっても圧巻なのはエッジボイスの器用な使い方です。

エッジボイスは「あ゛あ゛あ゛あ゛」と意図的にブツブツと途切れたような声の出し方をする発声法で、平井堅が歌い出しで多用したことでも注目された技です。
「瞳をとじて」のサビ終わり「置き去りに~」あたりで堪能できます。

このエッジボイス、たいていは歌い出しで印象付けるような使い方をする印象ですが、GALCHANIEは歌の途中でさらっとを使いこなしてます。音程の変化とか、単語の切り替えの時にそれらのジョイントのアクセントとしてエッジボイスを使ってるんですね。この技術、やばいです。
すぐに狙ってできるものではないはずなので相当な鍛錬がされていると想像し、感服します。

歌と関連して、ダンスも含めたリズム感がまたすごいです。

楽曲全体はちょっとレトロさを感じさせるR&Bで、ダンスチューンながらほんわかしてる感じで、歌も上記のように声を張らず、ダンスもしなやか〜なムーブですが、ラップっぽいパートの歌の刻みかた、ダンスの動きの切り替えなどから、めちゃくちゃ鋭利なリズム感覚を持っているように思います。
背骨の関節普通の人より多いんじゃないかってくらい、体のやわらかさもすごい。
猫なの?ヒョウなの!?

歌もすげー、踊りもすげー、でも押し付けがましくない。
非の打ち所がない曲です。

能ある鷹は爪を隠す と言いますが、彼女の場合は爪は出してるんだけどその鋭さに気づかせないような余裕を感じさせます。

才能も技術も詰まってるけど聴いていて疲れない自然さがある。
YouTube登録13万人ちょっとに対してこの曲が1300万以上の再生数を誇っているのも、きっとリピート率が高いのでしょう。(そのうち300回ほどは私です)

さて、やっと音です。これ、なんとプロデューサーのMAYOJAMESがていねいにも曲の音をバラバラに聴かせてくれるインスタ投稿があって、音楽をかじった人間としては垂涎モノです。

 

この投稿をInstagramで見る

 

Mayo James(@mayojamess)がシェアした投稿

バラバラに聴いてみると、意外とベースやキーボードなんかは「打ち込みでーす」っていう感じの素朴な音なのに驚きます。
その後、MAYOJAMESがサラっと「メロディーです」ってまとめて聞かせた音。
ここがまさにサワディーが気になっていた音です。

ほぼ全編通して登場するプチプチとした粒感のある印象的な音。これはきっと打ち込みじゃなくて生ギターだ!そしてこれが重要な役割を担っています。
引っかかりのあるアタック感と弦の揺れる響き。

これはエレキギターの高音弦を強めにミュートしてペチンと弾いてパーカッシブな音にする、ファンクなどで使われる奏法ですね。
フレーズもシンプルかつエモくていい感じなので、弾いてみたくなって練習してみました。

特に楽器演奏に興味がない方には「は?」って感じかと思いますが、こんなディティールにも工夫を凝らしている所もこの曲の魅力です。

今回は引用がやたら多くてすみませんが、この人おもしろいトピック多すぎなのでお許しを。
こちらは「Baby Tee」の少し前に発表された楽曲の撮影ドキュメンタリーの公式動画。
なんとロケ地は滋賀県。比叡山延暦寺日吉大社というなんとも意外な設定。

MVではバッチリギャルメイクですが、こちらではナチュラルメイクのGALCHANIEの自然体の様子や、陽気でやさしそうな人となりが感じられます。
「ミュージックビデオの~、サツエイにキテマース!」
「ロケハンで~す」
「行くぞー」
「わかりましたー」
めっちゃおもろい、めっちゃかわいい。
Baby TeeではBaby Teeを着てるわけですが、着物も似合いますねー。

おまけ
最後にほっこりする動画をひとつ。
一緒に踊っているのは以前タイナウでも記事に取り上げたButterbear(バターベア) ですね。
タイのお菓子/スイーツ店のキャラクターで、お土産やグッズ、動画からLINEスタンプまで大人気。
GALCHANIEもいい顔してて癒されますねー。

中の人、ぜったいガチで踊れる人だ!

[文・構成/タイナウ編集部 サワディーワタナベ]

guest

0 コメント
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る
0
この記事のコメントを見る!x
タイトルとURLをコピーしました