タイの国民的ポップデュオScrubbが魅せたライブ「タイフェスティバル2025」イベントレポート!夕暮れのマジック、笑顔と感動に包まれたまさに“奇跡のステージ”でした。

ThaiNow編集部

2025年5月10日、代々木公園で開催された「タイフェスティバル2025」、夕方のステージに登場したのは、タイの国民的ポップデュオ・Scrubb(スクラブ)でした。
バンド結成20周年を超えてなお愛され続ける彼らのステージは、まるで“奇跡”のような時間となりました。

曇天に覆われていた空が、Scrubbの演奏が始まる頃には一変。
やわらかな夕日が雲の間から差し込み、夏フェスを思わせるような幻想的な光景に。観客たちは一斉にスマートフォンを掲げ、ライトを灯し、タイ語の楽曲にも関わらず手拍子と歓声でステージに応えました。

披露された全10曲のセットリストは、まさにScrubbの“思い出の詰まったベストアルバム”といえるものでした。

Scrubbのライブステージは、この「ทุกอย่าง(Thuk Yang)」から幕を開けました。
曇り空だった空が少しずつ明るくなり、ステージにやわらかな夕陽が差し込む中、穏やかなアコースティックのイントロが流れ始めると、会場からは思わず歓喜の声が上がります。
イントロが終わりムアイが歌い出すと、すぐに客席からは自然と合唱が巻き起こり、Scrubbの音楽がどれほど愛されているかを実感させられる光景が広がりました。
この「ทุกอย่าง」は、Scrubbが2010年代以降に発表した楽曲の中でも特にファンからの支持が厚い、やさしさと希望にあふれた“前向きソング”です。ライブのスタートにふさわしい、心をふっと軽くしてくれるような一曲でした。
ムアイの優しく包み込むような声が響き渡ると、不思議なことに雲の合間から夕陽が差し込みはじめ、まるでScrubbの音楽に呼応するかのように風景までもが色づき始めます。
この瞬間、観客の心に一斉に火が灯るような、そんな“静かな高まり”を感じさせるオープニングでした。


2曲目は、「Kho(Only You)」。
ムアイのやわらかな歌声とボールのギターが重なり、会場はふんわりとした優しさに包まれました。
観客の身体は自然と揺れ、やがて歌詞に合わせた合唱も起こり、ステージと客席の一体感が生まれます。

3曲目に披露されたのは「คำตอบ(カムトープ)」、タイトルの意味は“答え”。
イントロが流れた瞬間、ムアイが放った勢いのある「フー!」という掛け声に呼応するように、会場の熱気も一気に高まり、観客からは歓声とともに手拍子が起こりました。
この曲はリズムの心地よさとメロディの親しみやすさが相まって、自然と観客の気持ちを引き寄せるナンバー。
サビに入る頃には、会場のあちこちから手拍子と歌声が重なり、まさに“大合唱”の瞬間が生まれました。


4曲目に披露された「คนนี้(コン・ニー)」のイントロが流れると観客たちはすぐに手拍子でリズムを取り始めました。
曲が進むにつれて、その手拍子はどんどん大きく、揃っていき、曲の持つ軽やかさとあたたかさがしっかりと会場全体に伝わっていきます。
驚かされるのは、多くの観客がタイ語の歌詞を口ずさんでいたこと。
Scrubbの楽曲は日本語訳がなくとも愛されており、「みんな全曲歌えるの!?」と思ってしまうほど、自然と一緒に歌う声が響いていました。
この曲は、ドラマ『2gether the Series』の中でもとりわけ印象的な場面で使われた楽曲です。
タインが別の学生とギターの練習をしているのを目撃したサラワットが、焼きもちを焼いたように酔っぱらってしまい、練習曲とは異なるこの曲をふいに歌い出す――という、少し切なくも微笑ましいシーンに登場しました。


5.คู่กัน(Koo Gun)(Together)
イントロが始まると、リズムに合わせて、観客の誰もが気持ちよさそうに体を揺らしはじめ、その表情からは曲への愛着が感じられます。
そしてサビに入ると、迷いのない大合唱!
前列も後方も関係なく、観客が声をそろえて歌い、タイ語であるにもかかわらず歌詞がしっかりと記憶されている様子には驚かされました。
この「คู่กัน」は、運命的に結ばれたふたり”というテーマを、やさしいメロディと真っ直ぐな言葉で描いたラブソング。
ドラマの印象的なシーンを思い出したファンも多かったことでしょう。
この楽曲は、ドラマ『2gether the Series』のタイ語タイトル「เพราะเราคู่กัน(僕たちは一緒)」にある「คู่กัน(クーガン)」の語源となった曲。
“お似合いのふたり”を描いた歌詞は、ドラマのテーマとも重なり、ファンにとっても特別な意味を持つ一曲です。
Scrubbの温かくて素朴な愛の歌が、静かに会場の心をつないだひとときでした。


6曲目に披露されたのは、「รอยยิ้ม / Roiyim」――タイ語で“笑顔”を意味する、Scrubbの中でも特に温かくてやさしい雰囲気に包まれた楽曲です。
ちょうどこの頃、空は見事な夕焼けに染まり、会場全体がオレンジ色の光に包まれる幻想的な時間帯へと差し掛かっていました。その美しい風景と、やさしく始まるこの曲のメロディが見事に重なり合い、まるで映画のワンシーンのような空気が流れ始めます。
そして歌い出しと同時に、観客の多くがすぐに歌いはじめたのが印象的でした。
それもそのはず、「รอยยิ้ม」はScrubbのファンの間では“心の癒しソング”として親しまれており、そのメロディも歌詞も自然と口をついて出てくるような一曲です。
(MVは1億再生超え!!)
“笑顔”というタイトルのとおり、観客の表情もこの曲に合わせてふわっとほころび、やさしい手拍子とともに、会場には穏やかな幸福感が広がっていきました。
まさに、音楽と風景と心がシンクロするような、奇跡の瞬間だったと言えるでしょう。
Scrubbの魅力はこうした“派手じゃないけれど、深く心に残る一曲”を丁寧に届けてくれるところにあります。

7曲目に披露されたのは、Scrubbの初期の代表曲「เธอหมุนรอบฉัน ฉันหมุนรอบเธอ」(You Revolve Around Me, I Revolve Around You)。
イントロが始まると同時に、歌い出しからすでに合唱が巻き起こり、この曲の人気の高さが一瞬で伝わってきました。
この頃には、会場全体がすっかりScrubbの音楽に引き込まれ、音に身をまかせて心地よく揺れる人々の姿があちこちに。
日が暮れはじめ、辺りが徐々に暗くなっていく中で、ムアイがステージから「携帯のライトを照らして!」と呼びかけると、観客たちは一斉にスマートフォンのライトを掲げ、Scrubbのステージを応援し始めました。
すると、客席はまるで星空のようにキラキラと輝き始め、会場全体がひとつの光の海に。
その美しさと、音楽が生み出す一体感に思わず胸が熱くなるような、感動的な瞬間でした。

続く8曲目に披露されたのは「ลึกลึก(ルック・ルック)」――邦題にするなら「Deep」。ノリの良い軽快なイントロが流れ始めると、ムアイが笑顔で客席に向かって「ゲンキ?」と日本語で問いかけました。
それに応えるように、観客は「元気ー!」と大きな声で返し、続けてムアイが「カンバッテネー!」と言うと、会場からは「イエーーイ!」と明るい歓声が。
会場は一気に温まり、夏フェスさながらのにぎやかな雰囲気が広がっていきました。
さらに間奏に入ると、ムアイがタイ語で「ヌン・ソン・サン!(1、2、3!)」とカウント。
その合図と同時に観客は一斉にジャンプし、まさに音と身体がひとつになる瞬間が生まれました。
そしてその流れでムアイが「Make some noise!」と叫ぶと、会場のボルテージは最高潮に達し、あちこちから歓声と拍手が沸き起こりました。

ライブ終盤に差し掛かる9曲目、「เข้ากันดี(カオ・カン・ディ)」――英題では「Click」としても知られるこの楽曲は、ふたりの空気感がそのまま音楽になったような、あたたかさとエモーションに満ちたナンバーです。
曲は、ボールによるギターの繊細なイントロからスタート。
するとムアイがその演奏を引き立てるように、観客に向かって手拍子や声援をうながしながら盛り上げていきます。
ふたりが仲良く横に並び、自然体の笑顔で演奏する姿には思わず胸が熱くなり、その光景だけで会場からは温かい拍手が起きていました。
特に印象的だったのは、サビやコーラスの部分を観客が自然と引き継いで歌っていたこと。
さらに、ムアイの「手をあげて!」の声に応えて、観客たちは左右に手を振りながらリズムに乗り、会場はひとつの波のような動きに。
その一体感と、音楽に込められた感情に胸を打たれ、編集部はこのあたりでもう泣きそうに……。
曲間でコメントを求められたボールは少し照れた様子で、日本語で「……あざっす!」と一言。
場内には笑いと拍手が広がり、緊張と感動の余韻の中にも、Scrubbらしいユーモアと親しみやすさがあふれていました。


そしていよいよラストナンバー、10曲目に披露されたのは「ใกล้(クライ)」――“近く”(Closer)という意味を持つ、Scrubbの人気楽曲です。
イントロが流れた瞬間、会場からは割れんばかりの歓声が上がり、その盛り上がりがこの曲への期待感を物語っていました。
メロディが始まると、観客の多くがすぐに歌いはじめ、会場全体がひとつの大きな歌声で包まれる大合唱に。
誰もがこの瞬間を待っていたかのように、ステージも客席も笑顔と高揚感にあふれ、まさに感動の渦が広がっていきます。
軽快なビートとやさしいメロディに乗せて、手拍子やダンスが自然に巻き起こり、会場は終始ノリノリのままフィナーレへと向かっていきました。
そして曲の終盤、観客の興奮が最高潮に達したそのタイミングで、ギターのボールがなんと客席の中から一人の男性をステージに招き上げるというサプライズ演出!
彼に自分のギターをかけて演奏させると、ムアイもその横で笑顔で盛り上げ、観客のテンションはさらに上昇。
会場中から歓声と拍手が鳴り響き、笑顔と感動に包まれたラストシーンとなりました。

最後にムアイが満面の笑みで「コップンカップ!(ありがとう)」とタイ語で感謝の言葉を伝えると、観客からも温かい拍手と歓声が返され、Scrubbのステージは心地よい余韻を残したまま、美しく幕を閉じました。

Scrubbの魅力は、決して派手な演出に頼らない“人間味”と“温かさ”。日本語は話さずとも、ムアイとボールの音楽は言葉の壁を越えて観客の心を動かしました。会場全体が笑顔と感動に包まれた、まさに“奇跡のステージ”でした。
Scrubbがつくる音楽の魔法は、これからも時と国境を越えて響き続けることでしょう。

Scrubb ライブセットリスト(タイフェスティバル2025)
1.ทุกอย่าง / Thuk Yang(Everything)
2.ขอ / Kho(Only You)
3.คำตอบ / Kham Tob(The Answer)
4.คนนี้ / Khon Ni(This Person)
5.คู่กัน / Koo Gun(Together)
6.รอยยิ้ม / Roiyim(Smile)
7.เธอหมุนรอบฉัน ฉันหมุนรอบเธอ / Thoe Mun Rop Chan, Chan Mun Rop Thoe
8.ลึกลึก / Luek Luek(Deep)
9.เข้ากันดี / Khao Kan Di(Click)
10.ใกล้ / Klai(Closer)

招聘元/企画制作:Sabaay Style Market

[文・構成/タイナウ編集部]

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