Scrubbインタビュー|時を超えて響く音のチカラ。タイの国民的デュオScrubbが語る、20年の歩みと音楽の原点、そして日本のファンへの感謝。T-POPの象徴である二人に、心に沁みるサウンドの源泉を探る。

ThaiNow編集部

タイの音楽シーンを20年以上にわたって牽引してきた国民的デュオ、Scrubb(スクラブ)
メンバーのボールさんムアイさんは、学生時代からの長年の友情と、独自の音楽観を持ち寄って、誰もが共感できるような温かい楽曲を生み出し続けています。

2025年5月に行われたタイフェスティバル東京2025のイベントで、ビルボードライブ横浜とタイフェスティバル東京へのステージにも出演されました。
そんなお二人に、タイナウではじっくりとインタビューを敢行。
音楽を始めたきっかけや創作のインスピレーション、日本文化との関わり、そして日本のファンへの想いまで、たっぷりと語ってもらいました。

音楽の旅のはじまり──多様なジャンルとの出会い   

──初期の頃に影響を受けたアーティストや音楽ジャンルはありますか?

【ムアイ】
タイのバンドでは「ヨーキープレイボーイ」「モダンドッグ」などをよく聴いていました。
自然とタイの音楽に囲まれていた感じですね。

【ボール】
アメリカのロックバンド、特にブラーは好きでしたし、日本のアーティストではカシオペアX JAPANにも影響を受けました。
タイでは当時、今のような多様なジャンルは存在していませんでしたが、そのぶん、タイならではの音楽がしっかりと根付いていたと思います。
音楽を始めたきっかけも、学生時代に仲間と集まって音を楽しむことから始まりました。

 

自分自身との対話から生まれる楽曲

──楽曲制作のインスピレーションはどこから来ていますか?

【ムアイ】
自分自身の経験や、人との関係、日常での感覚がすべてインスピレーションになります。
若い頃は若者特有の感覚や「自分探し」「気づき」が中心になっていたと思います。

【ボール】
僕は「インプット」が大事だと考えています。
昔はCDを買って聴くのが主流でしたが、今ではストリーミングなど、アルゴリズムによる音楽の出会い方が増えて、世界がぐっと近づいたと感じています。

 

感情の断片を拾い上げ、音楽にする  

──Scrubbさんの曲には癒しの力があります。どんな瞬間にひらめきますか?

【ムアイ】
ふとした瞬間ですね。意識的に考えるというより、心が動いた瞬間を逃さずメモや録音をしています。
そうしてできたサビやメロディの大枠を、すぐにボールさんに共有しています。

【ボール】
ムアイさんは、インスピレーションを逃さずキャッチできる人
だから一緒に仕事がしやすいんです。
僕たちはスタイルが似ていて、感覚的に通じ合っていると思います。

 

「また聴きたくなる」理由とは                                                          

──Scrubbの曲は、時を経ても聴きたくなる魅力がありますが、何故だと思いますか?

【ボール】
歌詞の力だと思います。
日常の中にある感情や体験を、シンプルな言葉で描いているから、聴いた人が「これ、自分のことかも」と思えるのではないでしょうか。

 

二人で歩んだ20年。続けるために大切なこと                                                

──お二人が20年以上も活動を続けてこられた秘訣は何だと思いますか?

【ムアイ】
喧嘩したことも、全然話さなかった時期もあります。
でも、学生時代からの信頼関係があるから乗り越えてこられた。
大事なのは情報共有。わからないことはすぐ話す、誤解は早めに解く。
それが創作にも良い影響を与えています。

──お互いの関係を一言で言うと?

【ボール】
“陰と陽”(※太陰太極図)みたいな関係ですね。
違いがあるからこそバランスが取れていて、光にも影にもなれる
最終的には丸い形になる、そんな関係です。

※太陰太極図

 

T-POPが世界に広がる今、Scrubbが見つめる未来                                       

──T-POPといえばScrubb、初めて聴いたT-POPがScrubbという人も多いです。
  今のT-POPをどう見ていますか?

【ボール】
T-POPは今や国際的な広がりを見せています。
アーティストの個性が尊重され、ファンとの距離も近い。
以前は「英語で歌わなきゃ世界に出られない」と言われていましたが、今ではタイ語のままでヒットする曲も増えました。
言葉の壁を越えて、タイ語を学ぶファンもいるのが本当に嬉しいです。

 

日本のファンに伝えたいこと

──最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

【ムアイ】
今でも日本に来られることが信じられません。
音楽をやってきて、こうしてここまで来られたのは、皆さんのおかげです。
これからも頑張って音楽を作り続けます。また日本に来たいです!

【ボール】
僕の世代だけではないと思うのですが、日本はアニメやゲーム、音楽、カラオケの国で、憧れの存在。
そんな日本の皆さんが僕たちの音楽を聴きに来てくれるなんて、まるで人生の賞をもらったような気持ちです。
日本人は、同じアジア人として尊敬すべき点が多くあります。そういう人たちが僕たちを見てくれているということが、すごく励みになっています。

 


未来へ続く、Scrubbの音楽と言葉    
飾らない言葉と確かなメロディで、タイのみならず世界中のファンの心を癒すScrubb。

日常の一コマや、ふとした感情を丁寧にすくい上げる彼らの音楽は、これからも世代を超えて響き続けるに違いありません。
落ち込んでいる誰かをそっと励ます、やさしい応援歌であり、「明日は今日より少しだけ良くなるかもしれないよ」とそっと語りかけてくれる最新曲「 ยังมี | Better Next Day」も必聴です!

次のアルバム、そして次の来日が、今から待ち遠しいですね。

[文・構成/タイナウ編集部]

 

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