新旧問わず、音楽に親しんできたタイナウ編集部ワタナベが、未体験だったタイポップを聴いて綴る音楽鑑賞記。「サワディーワタナベ」は未知のタイポップへのサワディー=こんにちは のご挨拶です。
今回聴いたのは、PERSES の「Comment 」です。
先日の記事、タイのカルチャーと音楽にハマり、タイに移住したというZ世代男子ライター、トムヤム亜久津 氏へのインタビュー。
T-POP/タイポップの魅力や成り立ちについて話をうかがって勉強させてもらいましたが、伝統音楽や民謡として親しまれていた「モーラム」や、日本で言うと演歌的な歌謡曲として親しまれてきた「ルークトゥン」。この辺りの音楽がタイのPOPミュージックの成り立ちにも大きな影響を与えている要素があることを知りました。
T-POPを聴いていて、新しい楽曲でもどこか郷愁を誘うようなメロディーに出会うのはこの存在だったのか!と妙に合点がいった訳ですが、この曲にもその要素が感じられて、タイの歌謡曲的な魅力がたっぷり味わえます。
気持ちのよいミディアムテンポで、癒しのメロディーが反復され、じわじわとその魅力が沁みてきます。
何度か聴くと脳内再生されるほど耳なじみのよい曲ですね。
まったりっと体を左右に揺らしながら聴きたい感じ。とっても心地よいです。
そんな中にもラップが入ったり、わざと不協和音を入れたジャジーなピアノを入れてきたりするあたりはほどよいアクセントになっていますね。
さて、楽曲自体が特徴的なので先にそっちの話をしましたが、MVのストーリーもおもしろいですね。
SNS世代の恋模様、恋愛のアクションをスマホのインターフェースを使い、映像上のグラフィックに取り入れています。
ポストする時の「ポポポッ」という効果音も楽しい。
「冗談めかしているけど実は本気の恋」という、デジタル世代が共感するテーマ、トピックが満載です。
デジタル経由でも、愛情は愛情、照れは照れ。個性や感情は伝わる(伝わってしまう)んでしょうね。
見ているうちに、登場するメンバー同様、「がんばれ、がんばれ」と背中を押したい気持ちになってきます。
ふんわりゆるっとポジティブな気分になりたい時に最高の曲ではないでしょうか。
パフォーマンス動画もいくつかありまして、スマホを演出に使ったり、スマホ操作のポーズを振りにしていたり、ダンスにも遊び心があっておもしろいです。
個人的にPERSESの、めっちゃ技術あるのに曲によってはちょっと流してる感じの余裕のあるダンス、好きです。
[文・構成/タイナウ編集部 サワディーワタナベ]