新旧問わず、音楽に親しんできたタイナウ編集部ワタナベが、未体験だったタイポップを聴いて綴る音楽鑑賞記。「サワディーワタナベ」は未知のタイポップへのサワディー=こんにちは のご挨拶です。
今回聴いたのは、タイの人気俳優4人大集結の豪華ナンバー「Who am I」です。
タイの大人気俳優、BRIGHT VACHIRAWIT(ブライト)、WIN METAWIN(ウィン), DEW JIRAWAT(デュー)、 NANI HIRUNKIT(ナニ)の4人が勢ぞろい!
この4人が同じ画面に揃ってほほえみかけてくるって、えらいことですよ!
この曲は、4人が出演するタイ版「花より男子」の「F4 Thailand/BOYS OVER FLOWERS」のオリジナルサウンドトラックです。
この4人、俳優としての活躍はもちろん、ファッション業界でもハイブランドの公式アンバサダーに任命されたり、日本での認知、人気上昇もめざましい!ということで、ちょっと前のトピックではありますが着目してみました。
【予告編】
サウンドトラックはもちろんドラマを引き立てる役割を担うものですが、「F4 Thailand」のサントラ、楽曲自体もMVもとってもいいんです!
「Who am I」いい曲ですね。
全体的に浮遊感のある音に、4人のアクのないやわらかな声が溶け込んでうっとりする世界観に仕上がっています。
イントロのプチプチとしたフレーズはミュートしたエレキギター。これがAメロからサビまでずっと転調もせず入っているのですが、とてもいい効果を発揮しています。メロディーはシンプルながら美しく、リズミカルさも加えていますね。
そしておもしろいのはドラムトラックですね。楽曲の全体的な印象は美しいバラードなのに、ドラムは実はがっつりHIPHOPなズシっと来る音とパターンにしてあります。本来はミスマッチになりそうなものを見事に調和させていて、バラードにありがちな冗長さを感じさせません。
ナニのかっこいいラップが何の違和感もなくスッと入ってくる所も、このドラムのおかげかな、と思います。
タイのポップスの音づくり、こういう細かい所で「凝ってるなあ~」、と感じることがよくあります。
音でもうひとつおもしろかったのは、ギターソロの音。
この音づくりが日本のビジュアル系バンド、さらに言うならL’Arc~en~CielのKENの音を彷彿とさせます。
それだけでなく、途中に出てくるフレーズは、KENが多用していた(発明した?)フレーズと同じです。
T-POP/タイポップにおけるビジュアル系バンドの影響はかなり大きかったそうなので、音にも反映されているのかもしれません。
さて、個人的にこのMVの見どころだと思ったのはファッションですね。
名だたるハイブランドのアンバサダーたちなので、ファッションとその着こなしはとんでもなくかっこいいです。
よく見るとだーいぶアバンギャルドなデザインの服をあたりまえのように着られちゃう才能。
個人的には、ナニのチェック?千鳥格子?の、ジャケットのようなコートのようなシャツのような謎のセットアップが最高に似合っていてしびれました。
「花より男子」の設定/ストーリー的な面でも、ファッションに着目するのも楽しいと思います。
今回はもう1曲、同じくサウンドトラックから「Shooting Star」も紹介させてもらいます。
こちらは「Who am I」とは打って変わってとっても軽快でポジティブな響きの、シンプルなPOPチューンです。
タイ語ならではの発音やリズムのおもしろさも堪能できる歌詞と歌唱だな、と思いました。
どこか懐かしさすら感じる、いい意味で何も起こらない、何も裏切らない爽やかな楽曲です。
…あ、ラップが予想を超えて速えぇ!、は裏切られました。
[文・構成/タイナウ編集部 サワディーワタナベ]