新旧問わず、音楽に親しんできたタイナウ編集部ワタナベが、未体験だったタイポップを聴いて綴る音楽鑑賞記。「サワディーワタナベ」は未知のタイポップへのサワディー=こんにちは のご挨拶です。
今回聴いたのは、Jeff Saturの「Ride or Die」です。
タイ大人気俳優、かつ歌でもトップを走り続けるJeff Satur。
まさにスーパースターという表現がぴったりな活躍ぶり、人気ぶり、風格。
最近ではサマーソニックで初来日し、恵比寿ガーデンホールでワンマン公演をこなし、帰国後にサマーソニック・バンコク出演と、影武者がいないと成立しないような過密スケジュールで精力的に活動し、ファンを沸かせています。
Jeffの影武者が務まるならその人はもはや日なたの人なのでそんな訳もなく、その活躍にファンも大歓喜です。
さて、この「Ride or Die」は個人的にはJeffのシンガーとしての奥行を感じる楽曲として印象深かったです。
Jeffはとにかくバラードがうまいので、繊細でゆったりとした曲が多いイメージがありましたが、「Ride or Die」はまさに疾走感あふれる、ノリノリの4つ打ちダンスチューンです。
ヘルメットかぶったJeffのサムネからしてもうアートポスターみたいに、とっても様になってます。
そして、MVに出てくるヒロイン役、FreenBecky(フリーンベッキー)で知られる大人気女優のBecky(ベッキー)じゃないですか!!
なんと贅沢なキャスティング!
なのに概要欄にクレジットされていないというこの余裕。
またBeckyのライダースジャケットの似合うことに合うこと!
そしてBeckyまでヘルメットの似合うこと似合うこと!
ヘルメットがめっちゃ似合うって何なの!?
映像についてです。
タイトルで表現されているように、バイクをフィーチャーしたMV構成とサスペンスフルなストーリー性、そこにJeffとBeckyの複雑な関係と恋愛模様の要素が加わり、映像と完全にシンクロする疾走感のある音が乗るという、MVだからこそできるクリエイションに仕上がっています。
これは映像と音の一体感をたっぷり楽しみたい曲です!
こんなディスコ/ダンスチューンまで自分のものにしてしまう歌唱力。どうやって鍛えているのか想像もできません。
そして、このサビの節回し、なんか耳に覚えがあるような…と思ったのですが、K-POPの大人気グループ、IVE の「After LIKE」のサビのニュアンスがありますね。
Jeffは、リズムとかテンポだけでなく、フェミニンな雰囲気の曲も乗りこなせちゃうってことですね。
すごい!
そして音づくりです。このダンスチューンながらバンドサウンドの生っぽさを絶妙にブレンドしたような感触がたまらないです。
ノリノリなのに音の表情はマットに仕上げられていてガチャガチャしてないので、何回連続で聴いてもサウンドで耳が疲れる感じがないです。
この音づくりバランスや、特にBメロあたりの盛り上げ、緩急の付け方などはDua Lipaの「Don’t Start Now」あたりを思い出しました。
今っぽいしダンサブル、だけどライブ感もある、という点でしょうか。
Jeffの曲の話に戻りまして、この「Ride or Die」の音は、骨格を支えるリズムとベースの魅力が爆発しています。4つ打ちもちょっとだけ溜めがあって、ベースはドラムのキックの裏を気持ちよく埋めています。
これが、グルーブ感があるのに疾走感もあるというこの曲の魅力になっていると思いました。
Jeffの音楽の魅力の深淵はもう、底なし沼です。
沼にハマりすぎないように、バイクで逃げないと…。
[文・構成/タイナウ編集部 サワディーワタナベ]