辛~い料理と甘~い歌声の絶品コントラスト! ATLAS – SOMTAM #サワディーワタナベ的タイポップ/T-POP鑑賞記

ThaiNow編集部

新旧問わず、音楽に親しんできたタイナウ編集部ワタナベが、未体験だったタイポップを聴いて綴る音楽鑑賞記。「サワディーワタナベ」は未知のタイポップへのサワディー=こんにちは のご挨拶です。

今回聴いたのは、タイの大人気グループ、ATLAS「SOMTAM」です。

ソムタムといえば、タイ料理の定番、青パパイヤのサラダですね。
お店や作り手によってかなり個性の出る料理かと思いますが、個人的には、これまで食べた中で一番辛かったタイ料理はソムタムです。

ポップソングをお料理トピックで、というのはおもしろいですよね。
しかも、このソムタムというトピックのチョイスによって、表現はありきたりですがMV全体を通じてある種 珍しいほどの五感+α刺激型コンテンツになっていると思いました。

梅干しの写真を見ると酸っぱい感覚になる、というのは皆さんも同じかと思いますが、これがソムタムだともっと複雑に作用します(個人的感想です)
・カラフルでオリエンタルな見た目を楽しめ、
・五味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)、なんて言いますが、その全てが入っているため想像上でも味覚を刺激し、
・ナンプラーなど何かしらの魚醤で味付けがされ、その独特の香りは嗅覚においてもその香りが立ち上がり、
・生唐辛子を触るシーンの後、手を顔の近くにもってくるしぐさが出てきたり、そのままかじったりするシーンも出てくるので「あー、辛い辛い、心配!」と、ヒリヒリした触感&刺激も想像されてしまいます。

もうここまでで(ソムタムが出てくるというだけで)、五感のうち4つを支配されていますね!
(…全部脳内の話です)

さあ、最後の感覚、もちろん楽曲の主役、というかそのもの、聴覚です!

ソムタムの味は五味、と書きましたが、やはり辛さと酸味が突出しているため、ここで聴覚=歌声の甘さがぐーんと引き立つのです。
五感を行ったり来たり混ぜたりしているのでもはや何の話をしているのかわからなくなってきましたが、別の感覚が交わってぐんぐん迫ってくる体験を、MV視聴でできるのはすごいことです!

ATLASのメンバーの歌声は各人各様でありながら、輪郭ははっきりしていて爽快、中心はやわらかくクリーミー という印象で、これがこの曲の甘み成分の秘密ですね。
そして、マニアックな所はわかりませんが、この曲、歌声の音調整がめちゃくちゃうまい気がします。
声がまっすぐ安定的に届いてくる、かつ、ほん~のちょっとだけ、いわゆるケロケロボイス的なエフェクトで味付けがされているのではないかと思います。
元の声を活かしたサウンドメイクです。

メロディーもキャッチー、ミディアムテンポの明るいサウンドは2000年代のアメリカのポップソングも思い起こさせて聴いていて気持ちがいいです。
テンポとAメロのメジャー調で明るめな点や歌の乗せ方はブルーノ・マーズ「The Lazy Song」みたいで軽快です。

さて、バックトラックの音づくりの点では1つ特異な所が。
イントロのギターの音です。

ボーイズグループの曲に使われるギターとしてはかなり変わっています。
ロック寄りのギターサウンドだし、ロックの中でも普通のオーバードライブサウンドとは違う。
歪みが控えめで、すごく周期の短いエコー(ディレイ)をかけたようなカサカサっとした独特の音です。

これに関しては、元ギター小僧サワディーワタナベ、ピンポイントで思い当たった音があります。
遡ること十数年、アメリカでメロディアスなパンクが元気だった頃に活躍した、Sum 41というバンドの音です。
眉毛の本数を数えたくなるほど暇な時があれば、ぜひ聴き比べてください。

この曲のイントロ部分のギターです。(その前に謎のアカペララップが入ります)

先ほど、2000年代のポップのようだという話をしましたが、プロデューサーかサウンドエンジニア、ミュージシャンがこの頃の洋楽に影響を受けているのかもしれません。

そんなこんなで、あらゆる感覚で楽しんだMVのラストを飾るのは、五感のどれも担当領域ではない「恋心!」
これが最初に五感「+α」と書いた理由です。

何かのコンテストで負けて「苦~い」思いで会場を立ち去るNice。
彼に駆け寄る仲良しの女性が渡したメモには「Let’s make more mealmories.」(動画内英語字幕)の文字とキスマーク。

笑いながら一緒にソムタムをつくった記憶。
Niceにとっては生唐辛子をまんまかじらされた辛い(からい)記憶…。

彼女はそれを思い出させつつ、照れ隠しで「memolies」「meal(ごはん)mories」と書いたわけですね。
「おいしい思い出、もっとつくろうよ。」 ってとこでしょうか。

ここでコンテスト脱落のほろ苦さが、恋心までまとってクルっと甘さに反転してエンディング。

いやー、五感が忙して辛く(つらく)なる、楽しい楽しいMVでした!

[文・構成/タイナウ編集部 サワディーワタナベ]

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