BUS – LIAR #サワディーワタナベ的タイポップ鑑賞記

ThaiNow編集部

新旧問わず、音楽に親しんできたタイナウ編集部ワタナベが、未体験だったタイポップを聴いて綴る音楽鑑賞記。「サワディワタナベ」は未知のタイポップへのサワディ=こんにちは のご挨拶です。

今回聴いたのはタイのトップボーイズグループBUSの2024年9月リリースの曲「LIAR」
BUSはサバイバルオーディション番組「789 SURVIVAL」から選出された12人によって2023年に結成された、人数も多ければ各自の実力も高い、鉄壁のスペックを誇るグループ。

グループ名の由来は「Because of You, I Shine」という、あざといを超えてイノセントにすら感じるフレーズでデビューシングルも同名。
そしてBUSのファンダムネームは「BEUS(ビーアス)」ということで、なんだかBUSよりもファンの方が強そうな名前をもらっている気もしてきますがその辺はさておき、今回の楽曲、「LIAR」のMVです。

夜の、不気味な建築物外観から入るイントロのものものしさから劇的で期待感が高まります。
続いてメンバー登場の最初のカットは長ーーーいテーブルに横並びの12人のメンバー。
タイトルが「LIAR」。これは「最後の晩餐」ということですね。
BUSのメンバーは12人、ダヴィンチの最後の晩餐も12人なので人数そのものにも意味を持たせていてとてもおもしろいです。
格子状の天井も照明で表現。セットも凝ってます。
                   

冒頭、いろんな効果音が入ってますが、この効果音の音質も異様にいいので、でかい音で聴くかヘッドフォンだとASMR的な感じで没入感も味わえます。

ヴォーカルについては、熾烈なオーディションを勝ち抜いたトップアイドルなので歌唱力はさすが!という印象ですが、声量やテクニックを押し出すというよりは全体的に曲になじむようにコントロールされていて、それがこの曲の完成度を高めているように感じました。

そしてこの曲、音づくりがとてもおもしろいです!
サウンドについては非常にドライでマット、ニュートラルでミニマルなかっこよさがあります。
…すみません、横文字をいっぱい並べてなんとかしようという考えは否定できませんが、実際、装飾をなるべく排した音づくりの美学が感じられます。
エコーがんがん効かせて雰囲気ある風にしとけばウケるだろ、という安直な感じとは対極で、考え抜かれ、削ぎ落とされた印象を受けます。

Aメロのバスドラの変速なフレーズもいい感じで決まっていて、この曲のあやしげな世界観づくりにひと役かっているし、Bメロで4つ打ち+ベースだけになる時の気持ちよさにもつながっていて飽きさせない構造になっています。

個人的に注目なのはラップパートのアレンジですね。
ここでガラッと雰囲気を変えるのですが、そのアレンジがおもしろい。ラップのスタートと同時に90’sのアメリカ西海岸HIPHOP(Westside、通称ウェッサイ)のテイストをサンプリングしてるんですね。G FUNK/ギャングスタラップなどと呼ばれ、Dr.Dre、Snoop Dogg、2Pacらが出て一斉を風靡した感じの音。
♪うみょ〜〜ん ていう、’アノ感じ’のシンセもばっちり取り入れていて、往年のHIPHOPファンはニヤリとすることでしょう。

2番になるとAメロがエレピアレンジになっている所も、単調にならずリピートしたくなる要因かな。とても凝ってます。

観ても聴いても充実感があって、BUSの堂々たる代表曲のひとつ、という風格。
ちなみにTADA LABELS公式Youtubeチャンネルでは2025年3月現在、この曲が再生数トップで1899万再生。さすがBUS。

さて、この曲の詞のストーリーは恋愛ですが、相手に嘘をつかれていることを知ってモヤモヤしている心情が歌われています。
おそらく、君は最悪だー!自分は犠牲者だー!とは思いつつも、そう簡単に嫌いになれない複雑な状況で「この嘘つきめー」と言っているんですね。

えーっと、BUSの由来は何だっけ?

Because of You, I Shine

……おお、やっぱりイノセント!

[文・構成/タイナウ編集部 サワディーワタナベ]

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