美しすぎるも罪なることかな。独特の世界観に耽溺させる美と美の共演。PP KRIT feat. GALCHANIE – guilty pleasure #サワディーワタナベ的タイポップ/T-POP鑑賞記

Entertainment

新旧問わず、音楽に親しんできたタイナウ編集部ワタナベが、未体験だったタイポップを聴いて綴る音楽鑑賞記。「サワディーワタナベ」は未知のタイポップへのサワディー=こんにちは のご挨拶です。

今回聴いたのは、大人気俳優、歌手のPP KRITピーピークリット)と、こちらも大注目の人気R&Bシンガー、GALCHANIE(ギャルチャニー)の豪華な共演による「guilty pleasure」です。
この2人が共演するというだけでもう心躍ります!

PP KRITは、その美しさと独特の存在感から、「バラとトゲ」「甘さと毒」のように、美と同居する危険な雰囲気を表現するのが本当に似合います。
以前鑑賞記を書かせてもらった「FIRE BOY」も近づくと危険、でしたし、今回も「guilty」という物騒なワードがタイトルに使われています。

MVはイントロから強烈。洞窟で水がポタポタ落ちているような響きの音とPP KRITの美しい背中。
そして、その背中に描かれた妖艶なタトゥー…
と思ったら蛇の絵が背中を這って動いているではないですか!
その動きは上へ上へ向かっている…

昇り龍ならぬ昇り蛇!

このイントロ5秒で、もうこの楽曲&MVが唯一無二の存在であることが決定づけられたように思いました。

世界観とデザインのクリエイティブディレクションがとがってますね。
黒と深紅で彩られたオリエンタルな美しさ、これまた深紅で端正に配置されたロゴ。
サワディーは、東洋のセンスを大胆に打ち出したNYのファッションブランド、「VIVIENNE TAM」を思い出しました。

楽曲がスタートすると、赤絨毯からちょっと身を起こしてこちらを見つめるPP KRITがおもむろに歌い始めます。
この、ぬるっと入る感じの歌い始めも曲と映像の雰囲気に合っていてクセになります。

ぼんやりとした灯りに包まれた空間に、床に背中をつけたダンサーたち…。
音数を絞り込んだミニマルなサウンドも相まって異様な世界に引き込まれます。

そう、この「引き込まれる感じ」こそがこのMVの最大の特色であり魅力ではないか、と感じます。

そこにはちゃんと仕掛けがあります。

セットとカメラワークの工夫は相当緻密、かつ大胆なチャレンジがされているのでしょう。
まず、カメラ固定のシーンは少なく、引いたり寄ったり、何かしらの動き、それも優雅な動きが加わっています。
これによって見る側はその空間の中で自分の視点が自由に行き来しているような感覚を覚えます。

カメラ固定の映像の時は俯瞰だったり、ちょっと変わった角度から撮っていたり、このあたりも、その空間を「のぞき見」しているような感覚にさせる意図が感じられます。

そして、建物の構造そのものやセットを障害物のように、被写体を遮るように活用している所も映像を印象的にしています。
PP KRITの前で戸が閉まって顔を隠す、ドアが開いてカメラが中に入っていくことで見る人がその部屋に入っていく感覚になる、など、世界を見せるだけではなく、その場に参加しているような軽い錯覚を生み出している…。

そして、00:50くらいではなんと撮影用カメラ本体とモニターを思い切り出しちゃってます。

しかし、これはいわゆる「撮影風景」「裏舞台」のチラ見せとは違い、カメラという無機質、無人格な「眼」を持つ装置=その場を捉えるあなたの視点というメタファーとなっており、先述のように、「あなたもこの空間で一緒に見ていますよ」というメッセージなのではないかと考えました。

これは見ごたえがあります!

さて、歌の話に移りまして、まず楽曲を知った時点で「おお!」と思ったのはもちろんPP KRITとGALCHANIEの豪華共演ですね。
2人とも確固たる個性を持ったアーティストですが、その組み合わせの妙が見事に結実しています。

まずPP KRITパートが美しく優雅なファルセットボイスがふんわりとした空気を紡いでいきます。
イントロ同様、サビ前にも劇的なフックなどは入れずぬるっと入る感じがとても曲にマッチしていますね。

サビのメロディーはどこかTLCの大ヒット曲「No Scrubs」のBメロ(00:30~)を思い出させます。
きれいな曲をバックに、歌は勘違い男をけちょんけちょんにあしらうような歌詞でした。
♪あんたの連絡先なんかいらない
♪私のも教えてあげない
♪会うなんてもってのほかよ
※ややサワディー意訳

PP KRITのサビが終わるといよいよGALCHANIEの登場です!

歌のバトンタッチの直前に2人がTVモニターを通して相対するカットがほんの一瞬入る所がニクいです!

このGALCHANIEの歌い出しがまたとてもいいんです。
PP KRITがつくり出した空気と敢えて対比させるように、GALCHANIE独特の声でありながら、敢えてさらに喉を細めたようなシャープな声色に調整しているように感じます。

この歌い出しのメロディーは意外な所で星野源の「うちで踊ろう」のサビな感じですね。(キーは違います)
偶然メロディー構成が近くてもこれだけ雰囲気が違う、というおもしろさがあります。

2人が踊りながら歌うシーンはお得感ありますねー。
思いっきりデュエットしているパートはないものの、最後のサビ前、PP KRITが美しい高音ファルセットを響かせる中、GALCHANIEがクールにラップ、というかトークを差し込む所は鳥肌モノです。

さあ、ラストにどうなるか!?

思い出してください、この異様な空間に配置されたカメラたちは「あなたの眼」なのです!(サワディー解釈)

その眼(レンズ)はかんざしによって無残に割られ、PP KRITの背中から抜け出た大蛇に絡まれてエンディングを迎えます。

つまり、「見てはいけないものを見てしまったね」という警告のようなニュアンスですね。

ここで楽曲タイトル「guilty pleasure」があらためて威力を発揮するのです。
guilty pleasure=密かな楽しみ 後ろめたい喜び 甘い背徳…

あああ、見てはいけないものを見てしまった…

[文・構成/タイナウ編集部 サワディーワタナベ]

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