SADISTIC – JASP.ER #サワディーワタナベ的タイポップ/T-POP鑑賞記

ThaiNow編集部

新旧問わず、音楽に親しんできたタイナウ編集部ワタナベが、未体験だったタイポップを聴いて綴る音楽鑑賞記。「サワディワタナベ」は未知のタイポップへのサワディ=こんにちは のご挨拶です。

今回ご紹介するのは、タイの大人気4人組グループ、JASP.ERの「SADISTIC」

鳴り物入りの4人組人気グループがデビュー曲で「SADISTIC」なんていう刺激的なタイトルをつけてリリースすること自体がなかなか攻めてるな、と思いましたが、公開から3か月2025年4月現在でYoutube再生数は885万回再生超え
攻めて正解。SNSは賞賛の声があふれています。

まずMVのサムネの印象。
黒ずくめのハードないで立ちのメンバー、精悍かつワルそうな表情、メタリックなロゴ、背景など、どれを取ってもサディスティック!
そういう世界に連れて行ってやるぜ的なことだと思ってMVを視聴してみると、あれ? っていう裏切りが。

鎖につながれ、傷を負い、不敵な笑みを浮かべるメンバー。
あ、そっち側なの!?

勘のいい皆さんはMVを観てすぐお気づきでしょう。
そうです。「サディスティック」なのはJASP.ERではなく、別の誰かなんです。
中毒性の高いこのMVを繰り返し観ていると、JASP.ERをサディスティックに扱うのが自分だったりして…、という、ちょっと歪んだ背徳感を存分に味わえるものになっています。
おもしろいアプローチですね。

このMVでは、そんな設定に置かれたJASP.ERのビジュアルが存分に楽しめます。
線が細めのアーティストが多い印象のタイポップにあって、彼らのフィジカルなマッチョさは新鮮です。
特に肩の筋肉。衣装がノースリだらけのイケメン顔のすぐ右下にも左下にも美しい肩筋があってたまりません。
ご尊顔+(三角筋×2)=眼福
これがJASP.ERの方程式です!

音はイントロから工夫満点でとってもいいです。
ヒュンヒュンいってるイントロの音は、テーマからして、たぶんムチを振り回してる音をイメージしてつくられていると思います。
そのあとのキリキリ…という音も鋭利な刃物を連想させるスリリングな音で、のちに登場するポンド (Pond)の切り傷だらけの美しい上半身登場への伏線になってます。
タイポップの音づくりって、こういう所の仕上げのクオリティがほんとに高いと思います。

ただの効果音に思えるこういう脇役の音が、楽曲の流れやMVのストーリーを支えている。アイデアと苦労ですね。こういう音はアリモノ素材や生成AIではまだまだ作れないと思います。
特にイントロのヒュンヒュン、とっても丁寧に左右チャンネルに振り分けられてて、ぜひヘッドフォン、イヤフォンやスピーカーで聴いてみてほしいです。それくらい凝ってます、手がかかってます。

歌については、個人的に好きなのはポンドのラップ。これが他のタイポップグループと異彩を放っています。
タイポップのラップは、タイ語の響きがラップが合うなあ、とは思っていましたが、割と高音がぴしっと抜ける声がハマる印象でした。特に、以前紹介した楽曲に参加している女性ラッパーのMILLIなんかは、とんでもない技術もさることながら、トーンの高さと歯切れを魅力にしていると思います。

ところが、ジャスパーは違います。ポンドの低くハスキーな野太い声で、特に超絶技巧みたいなことやトリッキーなフローも入れず、リズム正しく刻まれるラップ。これはこれでユニークだしかっこいい!
そしてポンドをラップのポジションに据えたプロデューサー、英断!
どこから目線だという感じですが、個人的に英断!
さらに、歌パートの構成的にも、この後に出てくるジュン (Joong)の耳をつんざくようなハイトーンが際立つんです。ジュン (Joong)は、「北村一輝にそっくり」ということでYahoo!ニュースにも載って話題になったメンバーですね。

歌に関しては、ここしばらく聴いていたT-POPグループの曲は、音になじむように声をうまく調整して統一感があるような印象がありましたが、JASP.ERは4人の個性が立っていて、声の違い、歌い方の違いがたっぷり楽しめます。

歌と音と映像、すべてにおいてとっても充実感がある良曲です!

[文・構成/タイナウ編集部 サワディーワタナベ]

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