(観る側を)シネマモードにさせちゃう名バラード! NONT TANONT ft. Jeff Satur – Time Flies #サワディーワタナベ的タイポップ/T-POP鑑賞記

ThaiNow編集部

新旧問わず、音楽に親しんできたタイナウ編集部ワタナベが、未体験だったタイポップを聴いて綴る音楽鑑賞記。「サワディーワタナベ」は未知のタイポップへのサワディー=こんにちは のご挨拶です。

今回聴いたのは、タイのスター俳優/アーティストの超豪華な共演!NONT TANONT ft. Jeff Satur「Time Flies」です。

まずこの、タイのスーパースター、ノン・タノン、ジェフ・サター2人の共演に大興奮です。
しっとりとした音に聴き入る、2人の歌唱に聴き惚れる、映像に魅せられる…

至福の視聴体験です。

今回は歌、サウンド、映像と切り分けずに全体的に感想を述べていきたいと思います。
まずイントロのピアノから本格感たっぷりです。
これは、もしかしたらリアルのグランドピアノレコーディングではないかな?と思える、ふくよかな美しい響きと残響の長さ、音の消え方の自然さがあります。(間違っていたらどうしよう…)

昨今はキーボード/シンセサイザーのデジタル音のレベルがものすごく上がっているので、コンパクトな機材、下手したらPC上の音源でかなり本格的なサウンドが表現可能になっています。

こんな動画もありますね。フルコンサートグランドピアノと電子ピアノの弾き比べ。

なんだか芸能人格付けチェックみたいですが、電子ピアノもかなりいい線いってますがやはりグランドピアノの重厚感や風格の違いはありますね。
この曲のピアノにもそんな風格を感じます。

さて、この曲はタイトル通り、時間の流れをテーマとしていますが、時間という軸に愛情という感情をていねいに編み込んだような美しい曲です。
MVのストーリーにぴったりの、情感あふれる音が下地をつくり、そこにノン・タノンの歌が入ります。歌の直前にアナログ時計の「カチカチカチ…」という音が入ってフェードアウトするのもニクい演出ですね。
この時計の音、のちに登場するジェフが持つ懐中時計、女性が開く置時計の伏線にもなっています。
これもニクい!
他にも、テーブルから落ちる瞬間で止まったグラスやゆらぐ影、雨など、時間で刻々と変化し、二度と同じ姿が見られないモチーフが随所に登場して時というものの尊さを表現しています。
詩的!

ノン・タノンの歌は、超ハイレベルながらとてもやわらかく心地がいい。歌に聴き入っている間に、いつの間にか、ピアノが引っ張っていたサウンドは音数と厚みを増していきます。

いい感じに世界観に入った所でジェフの登場です!

この登場のなんと自然なこと。

ジェフの最初の歌パートまで、2人の共演はありません。離れた所にいながら、ノンがそっと、見えないバトンを渡すようにジェフが後ろ姿から登場します。
このビッグネーム2人ですから、ノンがメインとはいえ、フィーチャーした意味はしっかりないといけないし、ジェフの登場をあまりセンセーショナルに見せてもいけない。
その辺の連携が完璧だと思いました!

そしてノンとジェフの声の贅沢なコントラストですよ。
ノンもジェフも、やわらかい声質、ファルセットも含めた超絶な歌唱力を持っていて、大枠では近い方向ではありますが、ノンのリラックスした感じの余裕のある声に対して、ジェフはやや声の輪郭にエッジを感じさせる、繊細で文学的な声を持っているように思います。

この違いを1つの曲の中で!連続して堪能できる贅沢さ!
これはたまらないでしょう。

そして最後は圧巻の共演!
この2人が揃う歌の入り方もいいんです。
後半、同時ではなく交互に絡みあうように歌った後、同時に歌うフレーズ、そして3:00~の美しすぎるハモり。
この表情豊かな歌のグラデーション構成は最高です。

最初は交互でバトンタッチ → 最後は二人三脚でゴールするようなパートの組み立て方は芸術的です。(何で例えが運動会の種目みたいになってしまったのだろうか…)

歌、音、映像を含めて大満足で、観はじめるとMV側だけでなく、観ているこちら側がシネマモード(=映画を観る視聴姿勢)になってしまうような充実のMVでした。

私は「いい楽曲は短く感じる」という持論を持っていますが、この曲は完全にそれですね。
まさにTime Fliesそのもの。

さて、ノン・タノンとジェフ・サターの共演動画は他にもありまして、こちらはライブ・セッションという位置づけですね。
こちらも完成度高いです。
個人的にジェフの「Ghost」が好きだったので、2人の共演が見られるのはとてもうれしかったです。

こちらもぜひお楽しみあれ!

[文・構成/タイナウ編集部 サワディーワタナベ]

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